mail.com あり得ない
mail.com のアカウントが削除されたことによりメールアドレスが消失してしまった。このことに対する憤りを綴る。
mail.com
のアカウントが凍結されてしまった。現在、問い合わせの最中ではあるが、残念ながら戻って来ることはなさそうだ。
現在、メールサービスは Gmail を使っている。ただし、いわゆる有料版 Google アカウントである Google Workspace を利用しており、独自ドメインをメールアドレスとして使用している。2018 年 7 月に現在メインで使っているドメインを取得して Google Workspace のりようを開始したから、かれこれ 7 年以上使い続けている。
このメールアドレスは気に入っている。なんといってもインターネット上で長く使用しているユーザ名をドメインとしたメールアドレスで、ローカルパート1も mail
とシンプルだし、長年使っているから愛着もある。
しかし最近になってやっぱり独自ドメインを使うのは避けるべきなんじゃないかと再認識するようになった。別にこの考え方は今に始まったことではなくて前から思っていたことで、実際ウェブサイトに関してはもうどこにも使っていない。最近、メインの独自ドメインに関しても DNS レコードを整理して、A レコードはすべて削除した。GitHub Pages で使用するための CNAME も設定しておらず、まさに現在のこのブログのようにデフォルトの github.io
を使っている。
しかしメール(MX レコード)に関してはメインで使っている上に、毎日のようにメールチェックしているから、使うのをやめようという発想にならなかった。ポートフォリオはもうただ放置しているだけで全然更新もしていなかったし、ブログや日記は昔から github.io
で運用している。だけどメールは毎日使うからおいそれとやめるわけにはいかない。今まで数多くのサービスの利用にこのメールアドレスを使用しているから、変更するとなったらものすごい労力になることは目に見えている。インターネットにおける引っ越しのようなものだ。変更をせずに放置しておくと重要なメールを見逃すかもしれないからある程度の猶予期間はあるにしても最終的にはすべて移行しなければならない。とても大変だ。
まあウェブサイトのほうとはちょっと発想が違って、ウェブサイトは管理コストなしでできるだけ長続きするように独自ドメインを使いたくないっていう発想だったんだけど、メールのほうに関しては、自分でチェックするものだから、自分がチェックする必要がなくなったら(たとえば死んだら)不要になる。死後はメールが届かなくても構わない。どうせ自分しか見ていないものだから、自分が見なくなるなら必要なくなるのは当然だ。
だがやはり、ランニングコストがかかってしまうという点で引っかかっていた。独自ドメインにも年間 3,000 円ちょっとの更新費を支払っているし、Google Workspace も月 3,000 円の維持費がかかっている。別にビジネス目的ではないから、ポケットマネーから賄われている。
そうなると、「もし支払いが滞ってサービス利用を継続できなかったらどうなるのか?」という恐怖が付き纏う。Google Workspace に関しては、支払いが滞ってもその間サービスが利用できなくなるだけで、長期間放置しなければ支払いを再開した段階から利用継続できる可能性は高い。しかし独自ドメインに関しては、更新ができないとドメインが解放されて他の人に取られてしまう危険性がある。そうなるとその人が手放さない限り二度と同じメールアドレスを利用することはできない。もし仮にその人が、Google Workspace ではなくても同じメールアドレスを作った場合、その人に自分宛てのメールが送られてしまう可能性もある。
支払いが滞るということがなければいいだけじゃないかとも思うかもしれないが、支払えなくなった、あるいは支払わないと決めた時点でそのメールアドレスが使えなくなるというリスクがある。このリスク、というか影響範囲は、長くそのメールアドレスを使用すればするほど大きくなる。つまり、長く使っていればいるほど、影響範囲が大きいから使い続けようとなってしまい、それを維持するために今後生きている間ずっとそのランニングコストを払い続けることが確定してしまう。
それに、こうしたサービスがずっと同じ料金で同じサービスを提供してくれるとは限らない。現に、Google Workspace は年々料金が上がっている。自分で記録しているサブスクリストの履歴を振り返るだけでも、2022 年 3 月 26 日時点では 1,360 円 / 月だった2 Google Workspace が、今(2025 年 8 月の請求書参照)では 3,300 円 / 月にまで上がっている。直近の値上がりは単に円安になったのが理由かもしれないが、円安になる前からじわじわと上がってきているのは記憶していたので、Google Workspace (以前は G Suite) 自体が値上がりしているのは間違いないだろう。今後もさらに高くなっていくかもしれない利用料金に対して、「いやメールアドレスがあるから……」という理由で払い続けるのをやめられないのは、ある意味 Google の思うツボでもある。
これはまた別のエントリとして今後書こうと思っていることではあるのだが、実は今、メインの独自ドメインの Google Workspace 関連の DNS レコードの整理をしている。その作業をしている際に、そもそもこのメールアドレスを今後も保持し続けなければならないことに関して疑問が浮かんだのが発端だ。
じゃあ独自ドメインや Google Workspace に依存しない方法で、つまりランニングコストがかからない方法でメールアドレスを運用するにはどうしたらいいか。その答えは実にシンプルだ。フリーメールを使えばいい。おそらく多くの人(法人ではない一般利用)がこれなのではないかと推測する。もっともオーソドックスなところでいえば Google Workspace をやめて、無料の Google アカウントを作り直してそちらで Gmail を使えばいい。Gmail に限って言えば独自ドメインが使えるか否か、AI (Gemini) の機能が豊富かどうか、あとは保存容量の差くらいなもので、使い勝手は無料だろうが有料だろうが変わらないはずだ。
ただ、もう一つの懸念点が、ここまで Google に依存していいのかという問題だ。Google は本当に便利で、Gmail 以外にも様々なコアサービスを提供している。Google Workspace を使っているということもあって保存容量が無料よりも圧倒的に多いから Google Drive にもお世話になっている。そして Google Drive のデスクトップアプリは、(Windows 版や Linux 版は知らないが Mac では)パソコンのディスクにマウントすることができて、しかも Google Drive にあるすべてのファイルをローカルにダウンロードするわけではないので、いわゆる NAS のような使い勝手で使うことができる。これが非常に便利で、これがあることで Mac 自体のストレージをあまり大きくしなくても、また USB メモリや NAS などの外部ストレージを自前で用意しなくても済むので非常に身軽で気に入っている。3
だけど様々なサービスに一つのアカウントで利用することは、リスクもはらんでいる。そのアカウントにもしものことがあれば、すべてが共倒れになってしまうのだ。その中でも今挙げたストレージサービス(Google Drive)とメールサービス(Gmail)が使えなくなるのは致命的なので、なるべく依存性を減らしたいという気持ちがある。4
ストレージサービスはいったん置いておくとして、メールサービスに関しては以前大学後期に使っていた mail.com
をメインに復活させるのがいいのではないかふと思った。Google Workspace を使ってからというもの、しばらく放置してしまっていたものではあるが、そのメールアドレスは Google Workspace で今現在使っているものの次に気に入っている文字列だ。ログイン情報は大切に保管しているしアカウントも削除はしていないのでこれをメインに復活させればこの問題も解決するのではないかと思った。
ところが、久しぶりにログインしようとしたところ、できなかった。メールアドレスまたはパスワードが間違っているというのだ。メールアドレス・パスワードは 1Password で保管しているので間違っているということは考えられなかった。そして、パスワードをリセットしようと思いメールアドレスを入力したら、電話番号宛にリセット用のコードかなにかを発行してリセットするというものだったのだが、その電話番号が見知らぬものだった。一部伏せ字になっていたのだが、先頭の 国別コード を見る限りだとベトナムになっていた。
嫌な予感がする、と思い、問い合わせてみることにした。問い合わせたあとに返ってきたメールは、よくある質問一覧が並んでいるだけで、これで解決するかを試してみてほしい、というものだった。要するに、「経費削減するために、FAQ で解決するならわざわざ問い合わせてくるな、f*** u」というやつだ。しかしもちろん今回のケースではこれでは解決しないので返信をして人間に問い合わせをした。
すると返ってきた返信が、「6 ヶ月間利用がないから利用規約に従いアカウントを削除した。しかも削除された場合、元のメールアドレスも使えなくなる可能性がある」というものだった。マジかよ、となった。
なんかこの回答を見て、一気に冷めてしまった。mail.com
っていうのは、そのサービス名にもなっている通り、@mail.com
というメールアドレスが無料で取得できる。これはメールアドレスの中ではこれ以上にないくらいシンプルで最も美しいドメイン名だと思っている。当初、大学のときに Gmail を差し置いてこのメールアドレスを取得したのもそういう理由だった。ほかにも @email.com
とか @asia.com
とか、様々なシンプルなドメインでメールアカウントを作ることができる。しかも基本的には無料で。
いくら長期間使っていなかったとはいえ、この対応(ポリシー)には正直がっかりした。こんなに洗練されたドメイン名で使えなくなることがあるっていうのがショックだった。この前 Cloudflare を利用しようとした 際に久しぶりにログインした Yahoo.com は、mail.com
以上に放置していたけどそれでもアカウント削除ではなくて次回ログインするまでメールが届かないようになるだけだった。なのに 6 ヶ月使っていないだけでアカウント消しちゃう、しかも同じメールアドレスも取れないっていうのは、さすがにひどいと思う。
しかも 6 ヶ月って短すぎないか? こんなの、たとえば不慮の事故にあってしばらく入院していてログインできてなかった、ってだけでも経過しちゃうくらいの期間じゃないか。なんども言うように、メールって、あらゆるネットサービスのログインに利用されるものだから、各種サービス以上に重要度が高いのに、そのメールアドレスがこんなに簡単に消されちゃうし同じものも取得できないことがあるってことを考えると、こんなメールサービス恐ろしくて使えないと思ってしまった。昔メインで使っていたときはもちろんこんなことにならなかったが、今回は特別に復活できることに仮になったとしても、今後のことを考えるとメインで使うのを躊躇してしまう。冷めた。
@yahoo.com
みたいにサービスの名前を冠したドメイン名だったらまだしも、@mail.com
なんていう汎用性のあるドメイン名でこんないい加減なサービス展開しないでほしい。それに、このサービスは Google などの大企業が運営しているわけではないから、やはりサービスとしてもお粗末である。ちょっと調べればいろいろ出てくる(Google Play アプリのレビュー や Reddit の投稿)が、二要素認証に対応していないとか、下書きのメールが勝手に消えてしまうとか、自分のように長期間使っていなかったわけではなくてもアカウントを削除されてしまったりしたケースもあるらしい。
これだから弱小サービスは……。こんな雑な対応するなら、大企業にでもそのドメインを割譲してほしい。昔使っていたときも、ドメインが美しいから使っていただけであってサービスが素晴らしいと思ったことは一度もない。ドメインにとって役不足だから、とっとと信頼できる企業に明け渡してほしい。
ところで気になっているのは、パスワードをリセットしようとしたときに知らない電話番号が出てくることと、同じメールアドレスは利用できないという矛盾点だ。6 ヶ月以上利用がないからアカウントを消した、そして同じメールアドレスで再取得はできない ― じゃああの知らない電話番号は一体なんなんだ? 削除して同じメールアドレスも取れないんだったら、他の人も取れないはず。アカウントが乗っ取られたことも一瞬考えたが、他のサービスで今まで乗っ取りを受けたことがないから 1Password の情報が流出したとは考えられない。それにパスワードはかなり複雑にしてあって破られることはまず考えられない。それにそもそもサポートが「削除した」とはっきり行っているから乗っ取られたわけではないことは明白だ。
となると、削除されたあとはドメインと同様で誰でも同じメールアドレスを取得できる状態になる、というのが正しい解釈で、そのあと誰かに取られたからそのメールアドレスは使えないということなのか。「誰かが取得できるから、もし取られていたら」という部分を省略して、「同じメールアドレスは再取得できない可能性がある」と言っているのかもしれない。もしそうだとしたら説明も不十分だ。
まだ問い合わせは続いている、というか、ごねている。そのメールアドレスは他のサービスにも使っているから使えなくなると困るのですが、その場合はどうしたらいいかと聞いている状態だ。それに一度取得したメールアドレスは、アカウントが削除されたら(誰にも)取得できないっていう本来解釈できうる理解で正しいのであれば、あの電話番号はいったいなんなのかも気になる。それに、この電話番号は毎回出るわけではなくて、たまにテクニカルエラーになってサポートに問い合わせてください、とも表示されるんだよな。これは同じ操作をしたことでスパム扱いされているから電話番号でのリセットも一時的にできなくなる、ということなのだろうか。
とにかく、せっかく今回の整理を機に mail.com
の利用を久しぶりに再開しようと思ったのに、その望みも潰えてしまった。今使っているブログサービスが気に入らなければ別のブログサービスに引っ越せばいい、Twitter が気に入らないなら別の SNS を使えばいい。だけどメールはあらゆるアカウントに利用される玄関口みたいなもので、しかもサービスによって取得できるメールアドレスのドメイン名は当然異なるわけだから、優良なドメイン名でいい加減な運営をされると本当に虫酸が走る。本当に信頼できる別企業に売り渡してほしい。
削除される前に通知が来ていたのかもしれないが、その通知をメールで送られてもそれ自体をしばらく利用していなかったから気づくはずがないんだよな。だからメールサービスは他と違って削除とは慎重になるべきものなのに、本当にひどいと思う。皮肉なのは、Twitter や Instagram では他で利用しているユーザ名がすでに取られていて、しかもそれが長期間ずっと(放置されているところから換算するともう 10 年は経つと思う)放置されているのに削除されたりしていないのに、それより重要な、自分が取ったメールアドレスに関しては、たったの 6 ヶ月で削除されちゃうなんてね……。
大企業特有の、複数のサービスが一つのアカウントで利用できる、利便性とは裏腹のリスクを回避するためにメール専用のサービスの利用を再開しようとしたら、そっちにはそっちでリスクがあって……。もうなにも信用できない……。
メールアドレスの
@
よりも前の文字列のこと。mail@example.com
だったらmail
がローカルパートとなる。 ↩︎ちなみにそれより前はもっと安かった気がする。ちゃんと利用明細を調べれば出てくるけど、これを説明する上では不要なのでめんどくさいから今は調べないけど。 ↩︎
Dropbox など他のストレージサービスにはあるのだろうか。Dropbox は昔使っていたけど Google Drive を使い始めてからは一切使っていないので今はわからない。 ↩︎
別に Google のサービスを使いたくないというわけではない。どれをとっても Google のサービスは使い勝手がいいのでむしろ積極的に使いたい。しかし、ストレージサービスやメールサービスなど、データや他のアカウントに強く依存する(多くのサービスではアカウントの管理にメールアドレスを使用する)サービスを一つのサービス・アカウントに依存したくない。 ↩︎
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